多摩都市モノレール株式会社 奥山 宏二 社長 「人が行きかう駅を拠点に、回遊性を高めたい」
立川と奥山さんの関わりについて
2023年6月、社長に就任した奥山さん。東京都の職員として鉄道、道路、河川、区画整理、下水道などインフラ整備の業務一筋で携わり、定年退職後、その知見と経験を買われた。
「多摩の魅力を内外に知ってもらうことが必要。駅を情報発信の拠点として有効活用していきたい」と意気込む。
立川での思い出や、これからの立川への期待は?
あきる野市生まれで、現在は東大和市に在住する多摩っ子。地元での買い物で事足りなければ立川へ出るなど、これまでずっと立川を商圏とした生活を過ごしてきた。
「幼少期、親に連れられて中武デパートの食堂で食べたお子様ランチが忘れられない」と嬉しそうに話す奥山さんは、商業の中心地として多摩随一の規模で進化してきた立川を肌で感じてきた。
「昔は東西への交通しか整備されておらず、多摩で暮らす人は皆、都心を見ていた。南北の交通網が発達、定着し、市民が線的な目線から面で見る視点に。それにより交通の要所である立川の存在感がどんどん増していった」と市民としての意識変化を話す。
国営昭和記念公園をはじめ、アリーナではスポーツや興行が行われ、グリーンスプリングスの開業で街は一変。多世代が交流する「レジャー」が立川に生まれ、今までにない事象が起きた。その根底にあるのは「長期にわたる土地区画整備事業、市街地再開発事業がうまくいったことだ」と語る。
「これだけ大規模な事業は、多くの地権者、事業者、自治体が長年、努力や我慢を積み重ねなければできない。逆にそれができたからこそ今の繫栄がある。他の街では、そうそう生まれない。その時代の先輩たちが、未来へ残してくれた大きな財産」と今の立川の強みについて話す。その上で抱く立川の課題の1つが「地域間連携の不足」だ。
「多摩は他県に比べて1つ1つの自治体の面積が小さいため、もっと連携しインパクトのあるPRを行い、回遊性を高めないと、本当の地域の魅力に気づいてすらもらえない。今後は人が回遊する駅が、その一助となる取り組みに色々と挑戦していきたい」と意気込みを話してくれた。
(取材:高木 誠)